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アクースマティック・アート



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   アクースマティック・アート: General Info
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Band Websitehttp://www.acsm116.com/
Sounds Likeacousmatique / électroacoustique
Record LabelUnknown Indie
Type of LabelIndie


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   About アクースマティック・アート

'アクースマティックというジャンルについて'
'A PROPOS DU GENRE ACOUSMATIQUE'
ドニ・デュフール&トマ・ブランド
DENIS DUFOUR & THOMAS BRANDO
2000-2008
翻訳:鈴木理香
協力:檜垣智也

'アクースマティックと いうジャンルについて'
ドニ・デュフール&トマ・ブランド*1

目次
アクースマティックな作品とは何か?
音響の冒険、もはや60年
アクースマティック・アートの現在



"アクースマティックな作品とは何か? "
アクースマティックとは、音響の芸術である*2。そこから生まれた作品は、媒体を通して存在する。つまり、それらは決められたあるフォームに固定(録音)され、私達がその媒体を読み取ることによってのみ、姿を現わすのである。例えば40年代の終わりにはレコード、そして次にテープレコーダーの磁気テープへ。現在ではコンピューターのメモリー等がその媒体といえる。
アクースマティック・ミュージシャンにとってこの媒体は、例えて言えば彫刻家にとっての石、画家にとってのカンバス。写真家にとってはポジに当たり、映画監督にはフィルムに相当するだろう。彫刻家とその扱う素材のように、アクースマティック・ミュージシャンは、音素材を削り、構築し、しばしば違う姿に変えたりする。画家と色彩の関係のように、音を並べたり、混ぜ合わせたり、変化させたり、構成したりする。写真家のように、捉えて枠に納め、ライトを照らし、二重焼きをする。そして最後に、映画監督のように、時間の規定をし、動きを与え、モンタージュをし、コントラストを持たせる。反復したり間をもたせ期待させたり、連続性を持たせたりあるいは切断したり、流れるようになめらかにしたり、また、衝突させたりしながら。では、実際どのように?まず主要な一番始めの素材-つまりその意味を最大限に広義に捉えた”音というもの”を基にする方法、あるいはすでに録音された音を基にする方法がある。その一つとしてアコースティックな音を使うとする。それは、各々の”鳴り方”の特性によって選ばれた様々な楽器(音を発する物)や、特有な出来事によって占有されている世界や、物事の展開、仕種あるいは故意に演奏されたシーケンス等によってできているかもしれない。更に、”具象的”な音、或いは伝統的な、もしくは”エキゾチック”な楽器の音等によってできていることもある。もう一つは音響合成。それは、シンセサイザーで演奏された音そのものや、シーケンスあるいはデジタル音、ソフトウェアでプログラミングされた音、リアルタイムで変化された音やシーケンス等で構成されることもあり得る。
さて、作曲家はこうして集めてきた音を一体どうするつもりだろう?分類し、整理し、選択する。分割や切断の作業をし、この最近の10年間に発展を遂げてきた最新のテクノロジーを駆使した様々な機械の設備されたスタジオで、多様な音の変換を試みる。 モンタージュ、リヴァース、ループ、移調、サンプリング、圧縮、凍結、リヴァーブ、エコー、ディレイ、フィルタリング、ミキシング、アキュムレイト等はすべて、すでに長い間の実践と歴史を通して、その原理自体はかれこれ60年以上も提示されてきた基本的なオペレーションでもある。最新のテクノロジーを使ってのこれらのオペレーションは今後、最も洗練された妄想やとても有りえないような夢を形にすることを可能にするだろう。ただし、作業をする作曲家自身に自分の生み出したい、人に聴かせたい世界についてのアイディアがすでにある場合のはなしだが。
少なくとも作曲家に充分に豊かな音の世界が備わっているならば、彼自身の技量やこつ、繊細さ、勘、演奏の嗜好等が仕事のディテールを示唆するだろう。全ての段階において自分の作業の結果を聴きながら*3。このように、作業とそれを聴くということの間を絶え間なく行きつ戻りつしていると、だんだんと作品が精製されてゆく。作曲家の意志や、あらかじめ決まっていたプロジェクト(テーマ、音の世界、大きな意味でのフォーム、分割の仕方などの選び方等)と同じくらい、感性が大切になってくるという仕事の進め方をする中で、シンクロナイズ、アクシデント、コントラスト、相似変換、回折、集中などを使用することによって新たな”エクリチュール”の発明や工夫が可能になる。厳格さと自由さ、構築のセンスと行為の嗜好、意志と受け入れ体制の柔軟さ加減等も、聴く耳を魅了し注意を惹き付ける(単なるビックリ効果を超えるものとして)一貫性のある作品に到達するために、必要な美点である。
最後に、映画監督のように、サウンド・プロジェクション・システムを通して聴衆に自分の作品を聴かせる。このシステムとは、様々な色彩や多様な出力を持ったスピーカーの集合体(スピーカーのオーケストラ)でできていて、コンサート空間*4、ギャラリー、美術館、その他公共の場所で使われる。コンサート、音響設備、その他全てのアクースマティックな表現をする形態を作曲者が選ぶのである。我々が”演奏”と名付けることのできるもの(設備の設置の仕方、空間性、強弱や色彩に関する試み、フィルタリング)を通して、彼は自分の作品を聴衆に近付けることを可能にし、そのあとただ一つ、人々を聴くということの喜びに委ねさせるのだ……*5

"音響の冒険、もはや60年"
1948年、フランス放送協会の中にあった小さな研究グループの推進者ピエール・シェフェールは、芸術表現の新しいかたちを発明し、自らミュージック・コンクレートと名付ける*6。 クリエイターであり、ラジオ(”見ることなしに聴く”ラジオというものは、この新しいコミュニケーションの方法において、聴衆から摩訶不思議だという感想と賞賛とを同時に受け取った*7)のプロデューサーでもある彼は、偶然と遊びのセンスの赴くまま、全く新しい音楽の冒険へ身を投じる。録音という技法が、ゆっくり時間をかけて何回も聴くということを可能にし、何か月も”固定された”音を実験、観察した後のことである。フォノテック(音声資料館)に収められているうち、最も多種にわたる音素材は、技術者達に捨てられた物か、或いはシェフェールに録音された物等である。数々のレコード・プレーヤーを操作しながら彼は書いている*8。 『1948年4月21日:もし私が音の最初のアタック部分をカットしたなら、私はある違った音を得ることになる。また、フェーダーのおかげで、音の強さの低下を防ぎ強さを補うとしたら、私は自分の意図するようにクレッシェンドの場所を移動させ引き伸ばされた音を得られるのだ。私は、このようなやり方で作られた音のシリーズを録音し、それぞれディスクに収めた。これらのディスクをレコード・プレーヤーに載せ、再生-停止の切り替えスイッチの操作のおかげで、私は自分の望むように演奏することができるようになる。次々に、又は同時に。-中略-私達は、職人である。私の声、わたしのヴァイオリン、これらは、木やブリキでできたこのあらゆるガラクタの中や、私の自転車の警笛の中にも再び見つけることができる。私は、エレクトロンを介在させることなしにダイレクトな音素材との接触を探しているのだ。』 彼の熱狂と科学的なエスプリが「騒音のエチュード - Etudes de bruits」(レコード化された初のミュージック・コンクレートである)を生み出し、これはコンサートに先駆けてラジオ放送された。ピエール・アンリは、1949年ラジオ・クラブ・デッセイにてシェフェールと再び落ち合う。そして一緒に「ハ音のビデュール - Bidule en ut」と、のちモーリス・ベジャール*9のバレエ団と共に世界中をまわることになる「孤独な男のシンフォニー - Symphonie pour un homme seul」を作曲する。1951年、ピエール・シェフェールのグループはRTF内のミュージック・コンクレートのグループという形になった。そして、1958年再編成され「音楽研究グループ」(GRM)*10と名付けられた。一方ピエール・アンリは、孤高の道を辿り、1960年にアプソム - APSOM、ミュージック・コンクレート初のプライベート・スタジオを設立する。彼の歩んだ後には、更に多くの聴衆を広く集めながら数々のコンサートの種が蒔かれた。「現在という時間の為のミサ - Messe pour le tempsprésent」、「旅 - Le Voyage」、「ヨハネの黙示録 -L' Apocalypse de Jean」、「フュチュリスティー -Futuristie」、「リヴァプール・ミサ - Messe de Liverpool」…… 1950年代を通して、伝統的な、あるいは当時アヴァンギャルドと呼ばれた作曲家達が次々とミュージック・コンクレートの実践を学ぶ為、ピエール・シェフェールのもとを訪れる。ダリウス・ミヨーからイアニス・クセナキス、オリヴィエ・メシアンからエドガー・ヴァレーズ、そしてアンリ・ソゲからピエール・ブーレーズまで。ところで同じ時期に外国でも、作曲家達は電子音楽スタジオでの作業に熱中していたのである。カールハインツ・シュトックハウゼンはケルンのWDRで「Gesang der Jünglinge」(1956)を、ルチアーノ・ベリオはミラノのRAIで 「Thema - Omaggio a Joyce」(1958)を作曲した。アメリカでの”固定された音”の実験の成り行きは、もっとテクニカルなものに及んでいった。ミュライ・ヒルにあるベル・テレフォン・カンパニーの研究所では、マックス・マチューズがコンピューターを使って音響合成を研究し、それだけではなく、ニューヨークのコロンビア・プリンストン・ミュージックセンターではオットー・レウニング(「Fantasy in space」(1952))、ウラジミール・ウサチェフスキー (「Incantation」(1959))の試みなどが……
さてフランスではそろそろ、混じり気のないアクースマ ティックな作曲家の養魚池が生まれつつあった。フランソワ・ベイル(「Espaces inhabitables」(1967))、ピエール・ブースウイルヴァルド(「Sur les chemins de Venise」(1983))、ミッシェル・シオン(「Requiem」(1973))、クリスチャン・クロジエ(「Quasars」(1980))、リュック・フェラリ (「Hétérozygote」(1964))、ジャック・ルジュンヌ(「Parages」(1974))、ベルナール・パルメジアーニ(「De natura sonorum」(1975))、ジャン=クロード・リセ(「Mutations」(1969))、アラン・サヴレ(「L'Arbre et coetera」(1972))……など。

"アクースマティック・アートの現在"
幾千もの世界的なレパートリー
60年間もの研究、熟考と製作、四世代にわたる多くの重要な作曲家、その相当数はすでにクラシックである作品の数々、それからまたレコード録音の説得的データ等が、アカデミズムの洗礼を受けていないこのジャンルの生命力を示している。ピエール・シェフェールやその他の多くの国の電子音楽の先駆者達の影響を受けたり刺激されたりした者達は、自分達のスタジオを作った。1970年にはフランソワーズ・バリエールとクリスチャン・クロジエが GMEB (ブルジュ音楽実験グループ)を設立。これは、電子音楽の製作の世界的な、特に東ヨーロッパ、北ヨーロッパ、キューバ、南アメリカの国々にとっての触媒といえるだろう。各国のコンセルヴァトワール及び大学の作曲科の授業の存在のおかげで、アクースマティック芸術の実践は、次の国々で大変な発展を遂げた。フランス(マルセル・フレミオ、ギイ・レーベル、ドニ・デュフール、フィリップ・ミオン……)、カナダ(フランシス・ドーモン)、ベルギー(アネット・ヴァンドウ・ゴルヌ)、イギリス(デニス・スモーリー)、オーストリア(ディーター・カウフマン)、ドイツ(カールハインツ・シュトックハウゼン、ハンス・テュトゥク)、ブラジル(ホルヘ・アントウネス)、イタリア(ロベルト・ドアティ、アゴスティノ・ディ・シッピオ……)、それだけではなくポーランド、ハンガリー、スエーデン、ノルウエー、南アメリカ、アメリカ合衆国、日本……アクースマティックは以降も、新しい世代の作曲家を惹き付け続けている。名をあげるとフレデリック・アクアヴィヴァ、パトリック・アシオンヌ、ポール・ドルダン、マルク・ファーヴル、トーマス・ゲルヴィン、ベルナール・ギュンター、ジョンティ・ハリソン、檜垣智也、フレデリック・カーン、エリック・ミカエル・カールソン、パトリック・コスク、フランシスコ・ロペス、リオネル・マルケッティ、エリオ・マルチュッシエーロ、ロベール・ノルマンドー、アケ・パルメリュード、ドミニック・プティギャン、アニエス・ポワッソン、ダニエル・テル ッジ、クリスチャン・ザネジ……等。その他10数人の、時にはピエール・シェフェールの最初のアイディアとかけ離れてしまった作品のスタイルや、表現する世界、方法等の雑踏の中で活動をしている作曲家達もいる。彼等は、果てしないテクノロジーの進歩と戯れながら、自分達の音楽に対しそれぞれ異なった立場の呼称を使用している*11。少々当惑させられるこれらの多様性はこのジャンルでの活気とともに新しさをも表現しているのである。
様々な反響の中での経験 器楽を用いた現代音楽の作曲の世界は、ミュージック・コンクレートの経験に揺り動かせられた最初のものといえよう。イアニス・クセナキス、イヴォ・マレック、フランソワ=ベルナール・マーシュ、そしてドニ・デュフールのような作曲家達は、その音楽のスタイルやアイディアにおいてスタジオでの実践を通して、音の形態及びエクリチュール等のアイディアに、非常な影響を受けている。”閉じ込められた溝”は、徐々に現代の音楽語彙の中に位置付けられていった。また、ニューヨーク楽派といわれるアメリカのミニマル・ミュージックの作曲家達(スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラス、テリー・ライリー、ラ・モンテ・ユング……)も、まずテープ作品の中で、そして器楽 作品の中で”ループ”のアイディアからインスピレーションを受けていること、スタジオでの技量を滋養としていることを否定できないだろう。スタジオがもたらした音楽的時間に関する作用と異化効果の豊かな可能性は非常に新しい作品を生み出し、このパラディグムの変化がまだ現在の作品の中にも感じられるのである。 一つの新しい音楽が行動と素材そして今までと異なった方法で存在し、創造され得ることができるということに反応し、それを認めるのに最も時間がかかったのはセリエリスム及びポスト・セリエリスムの作曲家達であった。 1970年代に新しい美学を持った楽派がフランスに誕生したことも記しておこう。ピエール・シェフェールの音についての研究をしていた(アクースマティック・ミュージックではないが)このスペクトラル楽派*12は、周波数の高さの選択、作品のフォームの決定、オーケストレーション等に確実性をもたせるための、音の音響学的な構成(ハーモニックスやスペクトル)に触発されたのだった。 ジャン=ミッシェル・ジャールも彼なりにGRMとの繋がりを自認している。1960年代の終わりにパリ国立高等音楽院でピエール・シェフェールの授業を数ヵ月受けた後のことである。同じような音楽的変身は、ラインの彼方にも見られる。クラウス・シュルツ(カールハインツ・シュトックハウゼンの影響を受ける)、タンジェリン・ドリーム、初期のグループ・クラフト・ヴェルクなど。 60年代の終わりから、”恍惚”のシーケンスとスタジオの音響効果が、ポップ・ミュージックの世界に侵入するようになる。例えば、ビートルズ( 「Revolution 9」)、ピンク・フロイド(「The Dark Side of the Moon」)、キャン、そして更にラディカルなファウスト、それだけでなくヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ソフト・マシーン、最後に今最大の主導権を握る国際的ポピュラー・ミュージック、マイケル・ジャクソンにまで。 ついに90年代の始めにテクノ・ミュージックが現われる。司会者であり技術者であり、現在ではミュージシャンでもあるDJは自分達がピエール・シェフェールとピエール・アンリ(70歳で雑 誌の表紙で『世界で最年長のDJ』と紹介された!) の遺産を確かに引き継いでいると主張する。MCや他の夜の魔術師達は、知っていただろうか?1948年からある種の作曲家たちは、方向性やスタイルにおいて彼等より先に行っていたことを。彼等のスタイル、その発明や動力が、荒れ狂う夕べにおける最も注文の多いやつらをも、恍惚とさ せることさえできただろうということを。 応用される音楽のジャンルの数々、(商業的又はコマーシャル音楽、テレビ、ラジオ、演劇、バレエにおける音のイラストレーション、短編もしくは長編映画の為の音楽、空港や駅のチャイム、テレビのスポット音楽、ジングルとその他のさまざまな場所や場合に仕掛けられた音等)についていえばこれもまた、アクースマティックの錬金術師が手を染めて、探究し、発見された、表現力に富んだ音の可能性に心を奪われたのである。

音楽気違いの新しいジャンル
新しい聴衆が生まれた。1950年3月18日にエコール・ノルマル・ドゥ・ミュージック・ドゥ・パリで初めてのミュージック・コンクレートのコンサートが開かれたのである。歴史的なできごとであった。大いなる注目を集めたピエール・アンリとシュトックハウゼンの「大ミサ」をはじめ、ジャン=クロード・エロワによるマラソン・コンサート、ミッシェル・ルドルフィのサブ・アクアティック(水棲)・コンサート、そしてフェスティヴァル・フテュラの「ニュイ・ブランシュ」や「アクスマ・レイヴ」などに至るまで。 60年代に、カールハインツ・シュトックハウゼンやピエール・アンリの影響を受け、その音楽環境の中で新しい音色や派手なスタジオの効果などに闖入され鼻先をくすぐられて、ポップ・ミュージックの信奉者達が、時には大挙して、電子音響音楽の聴衆の仲間入りをすることもあった。 遅まきながら”テープ音楽”も、メディアや文化人などから今世紀(20世紀)のレパートリーとして正式に認められる恩恵に浴しながら、新しい音楽体験に好奇心をそそれられた聴衆を吸収した。ついにフランスでは学校やコンセルヴァトワールで率先して行なわれた敏感な対応が成果をあげる。そうして我々は、次から次へと多くの人々と出会い、その人たちにとって、新しい作品の発見が、大衆的に消費された常套句やある種の文化的束縛からくるのではなく、探究することの嬉しさ、自然な感覚の - ほとんど本能的な喜び - 音というものからくるのだと推論することができる。ある作品があって、洗練され豊穰な精製された仕上がりにもかかわらず、それは特定の文化を全く思い起こさせない、あるいは何もバックグランドを背負っておらず、創作に長い年月の音楽学の学習を要するものでもないとしても、最も緻密で精巧なポリフォニストの作品と比べ羨む必要など、全くないのである。 音や音色の新しさよりも、音を固定したり、作業の間必要なだけ何回も聴き直したりできる可能性の方によりアクースマティック・アートの根本的な新しさがあることを思い出そう。このおかげで、特有のキャラクター(アタック、和声的音色、音の粒子の密度、全体の様相、ダイナミック、etc……)に働きかけることができ、そして最後には、音の”現実的な”源流(その音の発生した理由や、それにまつわる逸話など)に近付くことなく、聴衆に作品を委ねることができるのである。すると純粋な聴覚の次元が刺激される。視覚に刺激を受けたり注意を奪われたりすることなしに、ただ音だけが知覚に達し、想像の世界が自由に拡がる。少しでも水に浸る喜びと戯れるなら、その時から我々は過去に聴いた音楽との照合などというものを放り出してしまうのだ。ピエール・シェフェールは「オブジェ・ミュージコー概論」*13の中でこう述べている。
『アクースマティックに対する示唆は次の通り。楽器の存在と文化的包装は無視しよう。できるだけ音楽的な響きを自分達の目の前に、置こうではないか。』

"註"
*1 ドニ・デュフール - アクースマティック及び器楽音楽の作曲家であり、リヨン国立音楽院 (1980-1995)で教鞭をとり、現在パリ市中央音楽院とペルピニヨン国立音楽院教授。アコール、コンセール・モテュス、フェスティヴァル・フテュラ、フェスティヴァル・サンタックスなどの主催者、またモテュス・アクスマ、今日のモテュス(モテュス・オージューデュイ)等のレコードレーベルのディレクターでもある。トマ・ブランド - 作家、オペラ台本作家。
*2 現在 造形芸術 という呼び方があるように、音がする物、音の鳴る物全て - 器楽音楽、ポピュラー・ミュージック、電子音響音楽、伝統音楽についてもっと広く - を”音響芸術”と名付けてはどうだろうか? 電子音響音楽とは、そのコンセプトと作曲の実践において電力を必要とするジャンルの全ての音楽について包括する呼称である。媒体を必要とする作品(我々がアクースマティック・アートと呼ぶ)、楽器及び音を発する物がマイクで増幅されている作品(ただし、その方法において作曲上の選択や、美学が反映されている場合に限る)、ミックス作品(器楽と、トラックにすでに録音された音とのミックス)、ライヴ・エレクトロニック作品(リアルタイムのシンセサイザー演奏、アコースティックな楽器の電気的、或いはデジタル的変換をリアルタイムに用いた作品)、インタラクティヴな音のインスタレーション、etc…… アクースマティック・アートと呼べるものには、ミュージック・コンクレート或いはミュージック・アクースマティック、ラジオフォニック・クリエイションHörspiele (ラジオドラマ)、他の分野に応用されたミュージック・アクースマティック(例えばテアトル、ダンス、映画、ヴィデオ等の為の)、スピーカーから発信されるオーディオ媒体に備えられた音響装置(操作をする者の視覚的な動きは最終的な聴覚のもたらす結果に直接の影響を与えないという条件で)、また、ある少数派として、スタジオで作られ、単に録音されたものを聴くだけのエレクトロニック(テクノ)をあげることもできるだろう。最後に、ラジオフォニックに近い方法でリアライズされたある種の詩的音響などもこの仲間に入る。
*3 実験的側面から見たこの方法(かの有名な”具体的な手法”、言い方を変えれば、作られた音か、採取され変換された音を基にして、スタジオでの作業と聴くという行為の間を行ったり来たりしながら、結果をダイレクトに聴くことによって成される作曲の仕方)は、生のままの音そしてすでに見つけ出された音等の操作を結合させたもので、1948年にピエール・シェフェールをして”ミュージック・コンクレート”と言わしめた強い触発の源となったものである。これは”抽象的な”器楽音楽、つまり机上の”理論的な”理解の上に立って作られる音楽の反対の立場に立つものである(理論的なものとは、全ての音素材とのダイレクトな接触なしに、そのコンセプトがある種のコード或いは暗号、”ソルフェージュと呼ばれる”言葉などの抽象化を通して成立するもののことである)。
*4 サウンド・プロジェクション・システム(他の言い方をするならば、スピーカー・オーケストラ或いはアクスモニウム):それは、演奏される作品の空間配置をするためにコンサート会場のあちこちに配置されたスピーカー・ユニット(システム)の集合体のことで、音の強弱や音色をプロジェクション・テーブルのフィルター、ケーブル、アンプを経由させてヴァリエーションするのである。今現在唯一の最高機関であるモテュスに、1995年よりジョナタン・プラジェが正式の演奏家としてアコスモニウムのチーフに任命された。 サウンド・プロジェクション:アクースマティック・ミュージックとは、音響媒体に固定(録音)され、”サウンド・プロジェクション・システム”を通してコンサートなどの形式で聴かれるものである。そこで、その場合での演奏というものについての追求が必要となってくる。つまりそれは次のようなことだ。『演奏会場の状況や作品の求める心理的スペースなどに従って、アコースティックな空間をオルガナイズするのを助けること。トゥッティかソロかの選択、整理。ニュアンスとコントラスト。立体化と動き。譜面台の前のミュージシャンは、オーケストレーションと生きた演奏解釈のコンセプトを司る。』(フランソワ・ベイル)

*5 アクースマティックという言葉の本来の意味の指し示すもの(アクスマ - ギリシャ語では”聴覚”)について様々な定義とコメントを紹介する。
a. ピタゴラス(紀元前6世紀)は聴覚に注意を促すためのオリジナルな方法を発明した。彼は、弟子達を前にカーテンの向こうに自らの姿を隠し、暗闇と完全な沈黙の中で、教えを説いたのだった。”アクースマティック”とは、彼自身がこのようなシチュエーションを指した言葉で、弟子達もこのようにして聴くことへの集中力を養った。この哲学者・数学者そして音楽家であるピタゴラスが自分では一冊の本も書き残していないことは、ご存じの通りである。
b. ジェローム・ペーニョ。現代では、1950年代のラジオフォニックの大冒険から初めての”騒音の音楽”が生まれ、ピエール・シェフェールがそれについて初めての方法論を掲げている一方で、作家、詩人であるジェローム・ペーニョはあるラジオ番組の中でこのように自身の意志を表明していた。『音とその起源を分かつこの距離をどんな言葉で差し示したらよいのだろうか……アクースマティック・ノイズというものは(辞書によれば)その起源や発した理由のわからない音ということだ。そう、まさに!ここにオブジェ・ソノールの定義そのものがあるのだ。ミュージック・コンクレートの基本的な要素である。ミュージック・コンクレートというものは、この世で最もグローバルな幅の広い音楽といえるであろう。例えて言えば、頭のテッペンは空に届き、爪先は地獄に触れているような。』(ミュージック・コンクレート・グループの番組「生きている音楽」1955年より)
c. ピエール・シェフェールはその「オブジェ・ミュージコー概論」(1966)の中で、アクースマティックという言葉について再び取り上げ、”制限された聴覚”と再び関係付けている。『テープレコーダーは、ピタゴラスのアイディアを長所として持っている。つまり、もしテープレコーダーが新しい音観察に関しての現象を生み出すのなら、それはとりわけ、新しい音観察の条件を生んだことになるのだ。』(フランソワ・ベイルの引用より抜粋、「現代音楽の語彙」、コレクション・ミュージック・ウーヴェルト、ジャン=イヴ・ボッサー著、ミネルヴ出版社刊行)
d. ドニ・デュフール&ジャン=フランソワ・マンジャール/アクースマティック・アートというものは音の芸術であり、ある媒体に密着(録音)させた最終的な作品であり、唯ひとつの聴き方で提供されるものである。視覚に頼らず、そのスタジオに装備されている、作曲家に提供された電子音響音楽の用法の限りをつくしながら成されるのである。アクースマティック・ミュージックの作曲とは、聴くという行為のもとで生まれる。つまり、作られた音か、採取され、変換された音を基にして、”スタジオでの作業”と”聴く”という行為の間を行ったり来たりしながら、結果をダイレクトに聴くことによって完成される作曲の仕方である。このようにして作曲家は曲を作るのであり、ディテールの細かいエクリチュールや、音のイメージとイメージの間のアーティキュレーションの膨大な発明をもって、彼の作品の要素を構成するのだ。その発生の起因と切り離された音は必然的に、実際のその音の生まれ た原因ではなく、ヴァーチャルな関係、つまり、それ自体が内的な、或いは外的な、誘導された、または想像上の、メタフォリックな空間を生み出すような関係に(人を)引き込む。それらによって感覚は誘発されるのである。(「現代音楽の語彙」、コレクション・ミュージック・ウーヴェルト、ジャン=イヴ・ボッサー著、ミネルヴ出版社刊行)
e. ミッシェル・シオン/アクースマティックとは:私達が、それがどこからきたのか、どんな風にして発生したのかわからない音を聴くというシチュエーションのことをいう。このギリシャ語は、その昔ピタゴラスの弟子達が壁掛けの後ろに姿を隠した師の説教を聞いたというエピソードからきている。ミュージック・コンクレートの発明者であるピエール・シェフェールは、ラジオ、レコード、スピーカー等から聴くというシチュエーションを特色付けるためにこの言葉を発掘することを思いついたのだった。自身の著書「オブジェ・ミュージコー概論」(1966)の中で彼は、このシチュエーションでの聴き方の心理的なところについて、結果を分析している。彼の後、作曲家フランソワ・ベイルが一般に使われていたミュージック・エレクトロアコースティック(電子音響音楽)という言葉に代わってアクースマティックという言葉を利用することを思いついた。”ミュージック・アクースマティック”、”コンセール・アクースマティック”などの表現は、彼にとってこれらの音楽の美学的観点や、聴き方、そして、スピーカーを通して生まれるその録音された音の発生の起因と切り離された、”姿の見えない”音楽の作曲方法の条件等に、よりふさわしいように思われたのであろう。(ミッシェル・シオン、「ラルース音楽辞典」より)

*6 参考までに、シェフェール以前にも、音や騒音を素材として作曲するアイディアを用いて様々な探究がある人々によってされていたことを記しておこう。20世紀初頭の画家そして未来派の作曲家でもあったイタリア人、ルイジ・ルソロ(彼の”イントナルモーリintonarumori”(訳者注:騒音を発することを目的に作られた楽器))。それからドイツの実験的シネアスト(映画人)ヴァルター・リュットマン。彼は映画用のフィルムの音の部分のフィルムだけを使い、”映像の無いフィルム”(「ウイーク・エンド」(1930))を作った。そしてもちろん、エドガー・ヴァレーズだ。彼のユートピアである”組織された音”は、あまりにも有名である。けれども、彼等の誰ひとりとして録音というアイディアを使っていなかったことも事実である。真の意味での、ミッシェル・シオン言うところの”固定された音の芸術”の創造をするために(1910年代以降では、良質なものが可能であり得たはずだが)。
*7 オーソン・ウェルズそして彼の有名なアメリカのラジオ番組「ドラキュラ」(1938)や、とりわけ 「世界戦争」(1938)に目を向けたい。片やピエール・シェフェールといえば1943年から44年にかけて、ラジオフォニック・フィクション「惑星の貝殻」を手がけていた。
*8 彼の著書「ミュージック・コンクレートの研究において」(サイユ出版社、1952年刊行)の中の「Premier journal」(1948-1949)の項を参照のこと。
*9 ミュージック・コンクレート、初めて、本当の意味で有名になる!フランソワ・トリュフォーの「二十歳の愛」(1961)という映画で、主人公二人がミュージック・コンクレートの講義を聞きに行くという場面があるのだ……
*10 現在、ダニエル・テルッジが所長であるGRMは1974年にINAの中に組み込まれた。
*11 ミュージック・アクースマティック:時代により又は地域や楽派によって、例えば - ミュージック・コンクレート、実験音楽、エレクトロニック・ミュージック、エレクトロアコースティック・ミュージック、ドイツでは、トンバントミュージック、エレクトロニッシュミュージック、アメリカではテープ音楽等異なる呼称がある。
*12 アンサンブル・イティネレールと共に知られる作曲家、ジェラール・グリゼ、トリスタン・ミュライユなど。
*13 オブジェ・ミュージコー概論:シェフェールとそのスタッフによる理論的研究の集大成である。サイユ出版社より刊行(1966)。

最終改訂:2008年4月28日 ‒ 檜垣智也
翻訳版出版:音と音楽創作工房116

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Jean-Luc Gergonne

Jean-Luc Gergonne



Nov 11 2009 3:52 PM

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Hugues Vincent

Hugues Vincent



Aug 21 2009 12:58 AM


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La Main Traumatique

La Main Traumatique



Aug 16 2009 11:09 PM

tannhäuser

tannhäuser



Jun 24 2009 10:17 AM

|| tannhäuser || para entonces habrás muerto || foehn records || 6 julio 2009 ||
La Main Traumatique

La Main Traumatique



Jun 20 2009 10:10 AM









Winamp/windows Media Player/Real Player/
Zreen Toyz

Zreen Toyz



Jun 7 2009 7:08 PM

Really Nice pieces of electroacoustic Music.
Friendly hail from France.
Eva Pronin

Eva Pronin



Apr 16 2009 2:43 AM

kyouhei

kyouhei



Apr 12 2009 2:12 AM

Thank you ADD!
The future of music is celebrated.

Image Hosted by ImageShack.us
By punpunponpon at 2008-04-24
idrioema

idrioema



Mar 23 2009 1:32 PM

thank you



best wishes

c1a0

Arms Mo Enium

Arms Mo Enium



Feb 21 2009 5:32 PM

こんばんわ!
フレンドになっていただいてありがとうございます。
アクースマティックな空間は一度体感すると忘れられませんね。
low-fi mono // achtersee

low-fi mono // achtersee



Feb 8 2009 8:20 PM

¡¡¡great
watanabeai

watanabeai



Feb 8 2009 12:31 PM

coming soon!!
墨水

墨水



Jan 25 2009 10:37 PM

Hello
Thax 4 friendship
all the best
akamoi

akamoi



Jan 24 2009 11:18 AM

sorry for my english
akamoi

akamoi



Jan 24 2009 11:16 AM

hi
i've had you in my toplist
your sounds are great for me!!!!!!!!!
allthebest
send a comment to:
www. myspace. com/akamoi
for me is important your opinion
thanx
akamoi

akamoi



Jan 11 2009 8:01 PM

t h a n x
for aD d
great sound i really LIKE IT!!!!!!!
thanx for your sounds
lIsTe -n
www. myspace. com/akamoi
www. myspace. com/dramavinile
s U P p Or t IT::::::::::::::::::::::::::::::::::::&(ifyouwant)
SEND A COMMENT ON akamoi's sounds
watanabeai

watanabeai



Jan 4 2009 12:12 PM

bonne année 2009*
iqed

iqed



Dec 30 2008 4:49 AM

Thanks for the friendship!
Greetings;

vehicle study from iqed on Vimeo.
ChaLau

ChaLau



Dec 29 2008 8:45 PM

Salut!
Un vrai plaisir écouter ta musique.
Très bonne année et bonnes fêtes.
À très bientôt
watanabeai

watanabeai



Dec 26 2008 3:50 AM

acousmatic in japan!
Yousuke Fuyama

Yousuke Fuyama



Dec 22 2008 2:41 AM

どうもAIさん!
パリはどうですか?
Matthieu Gagelin (acousmatique is not dead!)

Matthieu Gagelin (acousmatique is not dead!)



Dec 21 2008 11:48 PM

bonnes vacances et bonnes fêtes !
emily et skerzo

emily et skerzo



Dec 20 2008 11:39 PM

今日は愛さん、お元気ですか、
 ありがとうございます。またね   フレデリク   bonnes fêtes également ( je ne sais pas le dire en japonais )
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